アートメイク看護師は、医療業界の中でも比較的新しく誕生した業界であり、従来の看護師とはちょっと異なる特殊なお仕事です。
高収入で働き方も自分次第といったキラキラしたイメージの一方で、実際は地道で泥臭い業務も多く、「ギャップを感じる」と思い辞めていく方も少なくないでしょう。
友人の話を聞いてみて思うのは、今の職場で「仕事がつらい」「辞めたい」と感じているのであれば、躊躇せずに早めに辞めて転職すべきということです。
なぜなら看護師資格さえあれば、転職は困らないからです。
この記事では、現役の美容ナースである私まなみがアートメイク看護師を辞めたくなる理由や、実際に辞めた人がどうやって転職を成功させたかなど、実際の経験者の話を踏まえて解説します。
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アートメイク看護師を辞めたくなる理由Top6
アートメイク看護師を辞めたくなるなる理由として主なものを5つ紹介します。
保険診療とのギャップが大きい
アートメイク看護師は、保険診療ではなく自由診療のクリニックで働くことになりますが、保険診療と自由診療では、仕事内容や働き方が大きく異なります。
意外と多い事務仕事
例えば、アートメイク看護師は、施術の実施だけでなく、施術の予約や顧客対応、カウンセリング、SNS運用など、保険診療ではあまり経験することがない事務仕事も担当するケースが大半です。
バリバリ勉強してスキルを磨いて施術をたくさんやろうと思って転職をしても、施術以外の時間が以外に多く、「思っていたのと違う。。」と感じる人は少なくないようです。
売上重視のストレスやプレッシャー
自由診療は売上を重視する傾向が強く、給与体系が成果報酬型のクリニックもあります。収入が安定せず、プレッシャーやストレスを強く感じやすいという点も、保険診療とのギャップとして感じる方が多い点です。
クリニックによって職場環境が全く違う
アートメイクは医療行為ではありますが、保険診療の対象ではありません。そのため、保険診療で働く看護師と比べると、施術内容や料金はクリニックによって異なるため、自分の理想とする働き方や給料を得られるクリニックを見つけることが難しいという声もあります。
また、クリニックが掲げるコンセプトによっても職場の雰囲気やが全然異なるため、自分の性格と合わなかったということもあるでしょう。
業務に飽きてしまいやりがいを感じない
キラキラしたイメージの一方で、実際は地道で泥臭い業務も多いため、業務内容に飽きてしまいやりがいを感じられなくなってしまうケースもあるでしょう。
意外と単調に感じる業務
アートメイク看護師の仕事は、基本的には同じ施術の繰り返しです。
もちろん新しいデザインを勉強したり、接客を工夫したりと自分次第で新たなことにチャレンジはできますが、施術自体は大きく変わることはないため、飽きてしまうケースもあるようです。
チームワークを発揮する機会があまりない
施術は一人で担当することが多いため、病棟や大きなクリニックから転職をしてきた方からすると、みんなで何かを成し遂げるような機会がなくなりさみしく感じてしまうこともあるでしょう。
人間関係のストレス
アートメイククリニックは、他の大規模な職場と比較して比較的小規模で運営されていることが多いです。このような環境では、職員間の人間関係が非常に密接になりがちで、それぞれのメンバーとのコミュニケーションが重視されます。
濃いコミュニケーションが生まれる一方で、同時に人間関係のトラブルが起こりやすくなるという側面もあります。
特に、自分と性格が合わない、または苦手な人がクリニック内に存在する場合、その人との人間関係をどのように築くかがストレスとなり、仕事に行き詰まる原因となることもあります。
最新情報の勉強や技術を磨き続ける必要がある
アートメイク業界は日々進化しており、最新の技術や情報を常に学び続ける必要があります。そのため、勉強や技術習得に時間や労力を割かなければならないという声もあります。
例えばアートメイクスクールの受講費用だけで100万近く、受講後のセミナーも1つ数十万円するものもあります。
お金をかけない方法もありますが、常に流行りのデザインをInstagramやYoutubeからキャッチしたりと、気が抜けません。
安定した給料が得られない
アートメイク看護師の給与体系は一般的な看護師と大きく異なるため、詳しく解説します。
成果報酬型の給与体系
アートメイククリニックによっては給与体系が成果報酬型である場合があります。
極端な例かもしれませんが、求人情報に「月給30万～500万」と書かれているようなクリニックもありました。
大きな成果を出せば月給500万円を達成できるのかもしれませんが、その水準を実現するにはかなりの技術と営業努力が必要ですし、毎月維持することは困難でしょう。
もしこういった求人に応募する際は、月給500万を達成している人は実際にいるのか、月にそのような施術を何件ぐらいこなしているのか、平均的な入社後3年程度のスタッフの平均的な月給はいくらかなど、具体的な質問をすることをお勧めします。
比較的新しい業界のため経営が不安定なクリニックもある
また、アートメイク業界は比較的新しい業界であるため、ビジネスチャンスをものにしようと、様々なプレイヤーが参入してきています。
そのため、競争を勝ち抜くために、莫大な広告費をかけたり、過度な値下げを行うことで、経営状況が悪化し、スタッフの給料が不安定になることもあります。
将来の収入や生活を不安に感じ、辞めたくなるという声は私も実際に聞きました。
脱毛クリニック業界でも同様に、皆さんも広告でよく目にしていたような大規模クリニックが倒産し、従業員の給与が未払となったニュースがありましたね。
看護師の責任が大きい
例えば病棟看護師であれば、医師の指示に基づいて業務を行っているので、何かあった際も医師の責任になる部分が大きいです。
しかしアートメイクは施術者である看護師個人の手技や、接客に対してクレームがくることが多いため、トラブル対応に疲弊してしまうのはよくある話のようです。
アートメイク看護師を辞める前に考えるべき3つのこと
「アートメイク看護師を辞めたい」と思ったら行動に移す前に必ず考えてほしい3つのことについて紹介します。
私自身も転職経験が何度かありますが、当時この３つについてもっとよく考えておけばよかったと少し後悔している点もあるので、ぜひ参考にしてみてください。
本当に辞めるべきか考える
アートメイク看護師を辞めたいと思う理由は人それぞれです。人間関係に疲れた、やりがいを感じなくなった、給料が安い、など、さまざまな理由が挙げられます。
まずは、本当に辞めたいのか、一度冷静に考えてみましょう。辞めたい理由が、一時的なもので解決できるものであれば、辞める前にできることはあるかもしれません。
例えば、人間関係に疲れている場合は、上司や先輩に相談してみる、職場を変えてみる、などです。やりがいを感じていない場合は、新しい技術を習得してみる、別の分野のアートメイクに挑戦してみる、などです。
ただ、考えることにあまり時間をかけすぎるのはおすすめしません。人はどうしても現状維持の方がだと感じる生き物だからです。
その日一日考えてみて、「自分の悩みが今の職場では解決しない」と思えたら、「思い切って転職活動を始める」と決めてやってみると、いろいろと踏ん切りがつきますよ。
転職後のキャリアプランを描く
辞めると決めたら、次に考えるべきことは、転職後のキャリアプランです。アートメイク看護師を辞めた後、どのような仕事をしていきたいのか、自分のスキルや経験を活かせる仕事は何か、などを検討しましょう。
転職と一口に言っても、以下のように様々なパターンがあります。
転職先を決める際には、自分のスキルや経験、将来のキャリアプランなどを考慮して、上記の選択肢の中から慎重に選びましょう。
この章ではパターン別に解説をしていきます。
美容業界内で同業種のクリニックに転職する（例：アートメイククリニックから別のアートメイククリニックへ）
この場合は、現職での経験やスキルを直接活かすことができ、即戦力になれるメリットがあります。
アートメイクの仕事自体は好きだけど、人間関係で悩んでいたり、今のクリニックの方針が合わないと感じている人は、この選択肢がおすすめです。
例えば、新たなスキルを学びたいなら、新しい機器や手法を導入しているクリニックを探したり、人間関係に悩んでいるなら、転職時に面接担当者だけでなく、現場スタッフの話を聞く機会を設けてもらったりするとよいでしょう。
美容業界内で異なる業種のクリニックに転職する（例：アートメイククリニックから美容外科・美容皮膚科・脱毛クリニックへ）
美容の仕事は好きだけど、アートメイクの仕事自体に飽きてしまったり、自分には合わないと感じている方は、美容皮膚科、美容外科、脱毛クリニック等への転職がおすすめです。
それぞれの症例や患者との関わり方が異なりため、新たな知識や経験を得ることができます。
また、同じ美容業界内の転職であるため、比較的転職のハードルは低く、年齢にもよりますが美容業界未経験者よりは条件を満たす求人は数多くあります。
さらに、アートメイク看護師になる前に勤務経験がある業種であれば、経験者として出戻りの形になるため、多少のブランクはあるかもしれませんが、スムーズに転職先になじめることでしょう。
クリニックの規模変更（例：大手から中小へ、中小から大手へ）
クリニックの規模を変えると、それぞれの規模によるメリットがあります。
大規模クリニックではお客様の数が多いため、多くの施術を経験できますし、在籍するスタッフの人数も多いため、同僚や先輩の接客や施術スキルを参考にすることができます。
しかし、規模が大きくなると業務分担が細かくなり、自分一人で担当できる業務の幅が狭くなり、お客様と接する時間も少なくなる傾向があります。
自分一人で、集客から接客、施術、アフターフォローまでを担当したかったり、お客様との対話を重視する場合は、小規模クリニックが向いているでしょう。
一般病院や保険診療クリニックへの転職（病棟や個人経営クリニック）
美容業界から一保険診療の病棟やクリニックへ転職する看護師も少なくありません。
美容業界での経験が活きるという意味では、保険診療と自由診療（美容関連）を併設するクリニックも選択肢になります。看護師としての職務と患者との関わり方を明確にし、それが可能な転職先を選ぶと良いでしょう。
ただし、一般的には美容業界での経験が長くなればなるほど、保険診療の病棟やクリニックへの転職はハードルが高くなります。
しかし、きちんと準備を行えば、転職は可能なため、自分一人で転職活動を行うのではなく、無料で使える転職サイトに登録して転職のプロに相談しながら準備を行うのがよいでしょう。
看護師資格を必要としない他業界への転職
このケースは稀かもしれませんが、私の友人でも何人かいます。
一人はアパレル系の仕事がしたいと言って、美容クリニック退職後に専門学校に通っていました。それ以外によく聞くのはIT系一般職です。
いわゆるノートPCでカタカタやりながら、エクセルやパワーポイントを使ってwebミーティングをしたり、今ならテレワークも可能…といったイメージに憧れを持つ人は少なくないようです。
ただ、これまであなたが積み上げてきた経験や強みを生かすという観点では下記のような業界がおすすめです。それ以外の業界への転職は可能性はゼロではありませんが、かなりハードルは高くなります。
- 化粧品業界
- 美容商材メーカー
- 医療業界
- 教育業界
- その他
化粧品業界や美容商材メーカーに転職する場合は、これまでの知識や経験を活かして、商品開発や販売に携わることができます。
また、医療業界に転職する場合は、これまでの看護師としての経験を活かして、医療事務や看護助手として働くことができるでしょう。
教育業界に転職する場合は、これまでの経験を活かして、美容に関する講師やカウンセラーとして働くことができます。
少し特殊かもしれませんが、看護師や看護学生向けに雑誌を刊行している出版社、看護師向けに転職支援を行っている会社、看護師や医者、クリニック向けにwebサービスやシステムを開発している会社なども探せば出てきますので、転職先候補になりえるでしょう。
次の転職先の内定を取ってから辞める
アートメイク看護師を辞めたくなったとしても、すぐに辞めるのは危険です。次の仕事が決まってから辞めるようにしましょう。
なぜなら空白期間が生まれてしまうと、焦りが生じ、じっくり転職先を見極めることができなくなってしまうからです。
転職のプロに無料で相談できる転職サイトに登録すれば、転職先候補の選定、面接や書類審査のサポート、自己分析などを受けることができます。
これらは現職と並行して行うことができ、職場にもバレることないので、必ず次の転職先が決まってから今の職場を辞めるようにしましょう。
転職時に必ずチェックすべき5つのポイント
アートメイク看護師の転職を成功させるためには、転職先のクリニックを慎重に選ぶことがとても大切です。
この章では転職時に必ずチェックすべき5つのポイントをご紹介します。
契約形態は何か？（正社員？契約社員？業務委託？）
契約形態は、給与や福利厚生、働き方に大きく影響します。正社員であれば、安定した収入や福利厚生が期待できます。一方、契約社員や業務委託であれば、自由度が高くなります。
| 契約形態 | 契約期間 | 社会保険 | 労働時間 | 安定度 |
|---|---|---|---|---|
| 正社員 | 無期契約 | 会社で加入 | フルタイム | ◎ |
| 契約社員 | 有期契約 | 会社で加入 | 正社員より少ないことが多い ex.週3日~４日 | 〇 |
| 業務委託 | 有期契約 | 自身で加入 | 会社との間で自由に設定 | △ |
まず正社員とそれ以外で大きな壁があります。
正社員であれば無期契約といって、雇用期間の定めがないため、基本的には自分から辞めたいといわない限り会社側から解雇をすることはできないため、最も安定している雇用形態になります。
一方で契約社員は例えば3か月ごとなど一定の期間を設け、定期的に会社側が契約更新の有無を判断するような契約体系です。いわゆる非正規雇用と呼ばれるもので、本人が継続して働きたいと思っていても、会社側の都合でクビにされてしまう可能性があります。
また、業務委託はいわゆるフリーランスになるので、契約期間、労働時間、報酬について会社との合意に基づき自由に設定できます。なお、社員と異なり社会保険に自分で加入したり、確定申告を行う必要があるため、最も裁量が高い一方で、自分一人で様々なタスクをこなさないといけません。
どの形態もメリットデメリットがあるため、自分の望む働き方に合致した契約形態を選ぶようにしましょう。
オーナーが医師かどうか？
美容クリニックを選ぶ際、オーナーが医師かどうかはとても重要です。
なぜなら、医師ではなく一般（医療に関して素人）の方が経営をしている場合、現場の医師や看護師と専門的なコミュニケーションが難しいケースがあるためです。
現場のスタッフとオーナーの意向にギャップが生じやすく、現場の意見が届きにくい職場になってしまうことも。
特に、アートメイクそのものに興味があるというよりはビジネスチャンスだから参入したというようなタイプのオーナーだと、お客様よりも利益優先の方針になりがちです。
そのような職場では医師もあくまで現場リーダーでしかなく、最終決定権を持たないため、あなたの理想とする働き方が実現できない可能性が高まります。
面接の際に確認をするか、事前にクリニック名、運営会社名、代表者名で検索し、公開情報から判別できないか試してみることを強くおすすめします。
また、アートメイクはタトゥーと異なり、「医師又は医師が常駐しているクリニックの看護師」だけが施術を行うことができるものです。（厚労省：医師免許を有しない者によるいわゆるアートメイクの取扱いについて）
中には医師が常駐していない違法クリニックもいまだに存在しているため、注意が必要です。
スタッフや面接担当者が威圧的でないか？
スタッフや面接担当者が威圧的でないかは、職場の雰囲気や人間関係を判断する上で重要なポイントです。
面接の際には、面接担当者だけでなく可能であれば現場の看護師や医師とも会話をする機会を作り、職場の雰囲気や人間関係を確かめましょう。
採用候補者への対応をないがしろにするクリニックは、お客様や同僚に対しても同じようなコミュニケーションをとっている可能性が高いといえます。
そのようなクリニックは、丁寧な対応をする余裕がないか、そもそも威圧的な態度を取る方が多いクリニックです。
転職後に一スタッフの力では変えることもできない要素なので、転職のタイミングで見極めることが重要です。
離職率が高すぎないか？
離職率が高すぎるクリニックは、何かしらの問題を抱えている可能性が高いです。求人情報や口コミなどを参考に、離職率をチェックするとともに、どこまで正直に回答してくれるかはわかりませんが、面接の際に聞いてみてもよいでしょう。
例えばオープニングスタッフの比率が多く、転職組は仲間外れにされてしまっているなんていうケースもあるかもしれません。
それ以外にも、オーナーの方針が利益重視に偏重していて現場スタッフが疲弊している、経営不振でヤバいと思ったスタッフが離脱しているなど様々な要素が離職率につながるため、転職時は必ずチェックしたいポイントです。
極端に安い価格でサービスを提供していないか？
極端に安い価格でサービスを提供していたり、広告を大量に打ち出しているクリニックも要注意です。
莫大な広告費をかけ、相場よりも低い価格でサービスを提供すれば、集客はうまくいくかもしれませんが、いずれアートメイク業界も、美容や脱毛クリニック業界のように競争が激化し、お客さんの新規獲得はどんどん難しくなります。
にも拘わらず広告で先行投資を行ったお金を、低い価格帯のサービスで回収しなければならないため、お客様の回転率を高める方針をとるしかなく、現場のスタッフは疲弊し、お客様にも真摯に向き合えず、お客様に不必要なサービスや無理な契約を強いるようなことになりかねません。
最悪の場合、スタッフの給与が未払のままクリニックが倒産し、泣き寝入りするしかないケースも起こりえるので、広告でよく見るから、規模が大きそうだからというだけで、転職先を安易に決めないように注意しましょう。
【まとめ】アートメイク看護師を辞めたいと思ったら
アートメイク看護師を辞めたいと思ったら、無理に働き続ける必要はありません。
正直な話、この業界に限らず、年齢を重ねれば重ねるほど、求人の数は減るため転職の難易度は上がってしまいます。
少しでも悩んでいるのであれば、手遅れになる前に、行動に移すことをお勧めします。
実際に、私自身も転職を何度か繰り返していますし、友人の半数ぐらいは30歳までに1～2回の転職をしています。
ただ、転職をする際はこの記事で書いたように注意すべきことが非常にたくさんあるため、本メディアのほかの記事も参考にしたり、転職経験者の話を聞いたり、転職サイトに登録してプロに相談しながら転職活動を行うことが重要です。
最後にあなたにとって素敵なキャリアが実現できることをお祈りしています。
この記事が参考になれば幸いです。